aki100mac’s blog

日頃考えていること、体験したことをブログしています。

緩和ケア病棟で働くスタッフへの提言


緩和ケア病棟で働くスタッフへ、いくつかの提言

 

1.Gentle Challengeが必要です

    死への穏やかな挑戦

    かなり早くから死を受け入れるような挑戦

人は死を突然受容することは難しく、それがなされるためには、その人は平生から、death education(死への準備教育)がなされなければなりません。

 

2.外的環境に目配り、気配りをしましょう

がん末期の患者さんを、どのような環境に置くかという外的環境が問題になります。

そのターミナルの患者さんのいる空間をどのようにレイアウトするかということが考えられなければなりません。

その患者さんには、今いる環境が、生きている最期のものとなるわけです。

環境が患者さんを包み、その中で患者さんが消えていくのだということを意識して、舞台装置をつくるような気持ちで、どうすれば良いムードになるかー景色も音楽も家具も、全部に目を配るーそれが大事です。

 

3.癒やしのための音楽を上手に活用しましょう

〝神の霊がサウルを襲うたびに、ダビデが傍らで竪琴を奏でると、サウルは心が安まって、気分が良くなり、悪霊は彼を離れた。〟

   旧約聖書 サムエル記上 16章23節

 例えば、病棟ラウンジでの静かなピアノ演奏 コーラスグループ

 廊下や、スタッフルームなどには静かで穏やかな音楽が、低く流れている、

 そんなイメージです。

 

4.人生が成就するためにサポートしましょう

患者さんとなられた方の人生を理解し、その方の自分史が完成されるようにサポートしましょう。そして人生の終わりにあたって、ことが成就するように祈りましょう。

   

5.健やかな死のために大切なこと

ハード面 

    自宅と同じようなアメニティが欲しいです。

    病院であっても、最低限広い個室であること

    ホスピスマインドを持つ緩和ケア病棟であること

    もっと、外的な環境に目を向けて欲しいのです。

 

ソフト面 

    延命のための治療はしません。 

    ウソは言いません。

    本人の命なのですから、本人自身の選択に任せることが、

    いちばん人道的だと考えます。尊厳ある死を叶えましょう。

    「この人にはもう点滴をしない方がいいですよ。」

    「病人がひどく苦しむのは点滴をやり過ぎているからです。」

    「食事を無理に勧めないでくださいね。」

    本人とご家族が大切に思うことを尊重します。

    基本的に24時間の付き添いが可能です。

    外出や外泊も可能ですし、体調などが許せばそのまま退院して、在宅緩和ケア移行 

    することもできますので相談してください。

    少量のアルコールはたしなめます。

    病院の敷地内は禁煙です。勿論緩和ケア病棟でも禁煙です。

    ペットとの面会は可能ですが、要相談です。

    「いつでも急変があり得ます。」

    大声を上げたり、叫んだりなさらないでくださいね。

    他の人の迷惑になる行為はなさらないでください。Etc・・・

 

居室のデザイン

日常生活と遜色ないレベルまで、病院生活のレベルを上げましょう。

 

プライバシーと尊厳を大切にしましょう。

 シングルケアユニットが基本です。

 ベッド(介護用ベッドが基本)

 トイレ(ウォッシュレット) シャワールーム(有料個室)

 テーブルと椅子 クローゼット 窓

 テレビ(地上波、BS)

 携帯電話(スマートフォン)などの充電

 Wifi(あれば望ましい)

 間接照明で、自然光に近いもの スタンドの照明を取り入れるとか

 木目をうまく使うことです。

 イニシャルコストは高くなりますが、占床率は上がります。

 通院や入院を決めたり、実際的なことをするのは、奥さんや娘さんなので、

 インテリアには気をつけましょう。

 

理想を高く掲げましょう

 

ボランティア養成部門の立ち上げとボランティア対応業務

  ボランティア養成講座の院外への告知

  ボランティア養成講座のテキスト作成

  ボランティア養成講座会場の準備、受付業務

  ボランティアへの毎日の対応 係を決めて円滑に運営しましょう

  ボランティアの中から、ボランティアコーディネーターを発掘する

  ボランティアミーティングを開催し、親睦を図ります

  リフレッシュ講座を毎年行います その準備をします

 

緩和ケア教育部門

  緩和ケアを専門とする医師、看護師、薬剤師を育てます

  病院内部と外部からの受講生の募集と受け入れをします

  緩和ケア病棟内の多目的室でのレクチャーが基本です

  医療者の緩和ケア病棟見学に対応します

  緩和ケア病棟スタッフの、各種学会への発表をサポートします

  地域の市民への緩和ケア公開講座を主催します

  その他、緩和ケアの教育に関係する事案に対して対処します

 

緩和ケアの書籍や一般の書籍、絵本などが備えられた図書室の設置

  ホスピスや緩和ケアに関する書籍の読書コーナーを設けます

  お茶やコーヒー、紅茶などを飲みながら、穏やかに過ごせる環境を

  提供します。音楽も少しばかりあるといいですね。

  例えば、Internet Radioや、CD、LPレコードを鑑賞しながら・・

  患者さん本人やご家族、友人の方々に提供します。

 

在宅緩和ケア部門

  在宅での緩和ケアを荷なうスタッフが中心となります

  院内外の医師への情報提供と連携を行います

  地域の高齢者施設や訪問看護ステーションと仲良くなります

  在宅での看取りをサポートします

 

 

MSW部門

  緩和ケア内科外来への紹介に対する情報取得と

外来当日の本人家族とのIntake面談

院内の医師からの相談への対応 院外からの相談への対応

緩和ケア病棟への他院や老健施設等からの受け入れ業務

緩和ケア病棟からの退院や転院などの折衝業務

緩和ケア病棟での合同カンファレンスへの出席

緩和ケア病棟のデスカンファレンスへの出席

その他各種カンファレンスへの出席

 

緩和ケア病棟兼任薬剤師

  緩和ケア病棟回診への同行

  緩和ケア合同カンファレンスへの出席

  緩和ケア勉強会の企画、立案、開催業務

  その他必要な業務

 

 

緩和ケア病棟兼務栄養管理師

  緩和ケア病棟の食事への工夫

  緩和ケア特別メニューの企画、立案

  緩和ケア行事での食事メニューの企画、立案

  その他必要な業務

 

緩和ケア病棟クラーク(事務部門)

  緩和ケア病棟の受付業務

  緩和ケア病棟の事務全般やその他必要な業務

  緩和ケア病棟合同カンファレンス等への出席

  院内各部署との連絡、調整業務

  緩和ケアボランティアとの調整役

 

緩和ケアプログラムに入るために必要なこと

 

1)患者自身が〝緩和ケアプログラムに入る〟意志があること

2)家族の了解が得られていること

3)現在の担当医からの許諾があること

4)大前提として、基本的にがんの患者さんであること

5)循環器疾患や脳神経疾患等で、疼痛等の症状緩和が必要な場合

  ※ 入院を受け入れる際に、病棟スタッフでの事前の協議が必要

6)在宅緩和ケアに繋げるため、環境調整等のための入院

7)家族のレスパイトケアを必要とする場合

8)その他、緩和ケア病棟への受け入れが妥当と判断される場合

 

緩和ケア病棟のスケジュール

             月  火  水  木  金

緩和ケア外来(午後)   ◎        ◎

合同カンファレンス(午後)   ◎

デスカンファレンス(午後)      ◎

在宅緩和ケア(午前)      ◎  ◎   

病棟見学         ◎  ◎  ◎  ◎  ◎    

 

 ※朝の申し送り終了後、病棟ナース(その日のリーダーナース)から担当医への

  ショートブリーフィングをお願いします

 ※必要に応じて、ショートカンファレンスを随時開始します

  (例えばセデーション開始時や再評価時など)

 ※病棟見学への対応は、基本的に緩和ケア病棟クラークやナースエイドに対応をお願いします

   基本的には緩和ケア内科外来を受診したあとの患者さんとご家族が対象ですが、

   受診前であっても構いません

 

緩和ケア病棟や在宅緩和ケアでの看取り

 死が迫ってきたときに、ナースが判断し、家族に死が近いことを知らせます。

  「死の準備教育」を少しずつ、しかし的確に行うこと。

    死ぬときの兆候、死の判断の仕方と教える

    在宅では、死後の対処方法について教育しておくこと。

 

『あなたの○△さんは、数日以内にお亡くなりになると思われます。

 その時のために、伝えたいことを言っておいてください。

 例えば、愛しているわ。 I Love You。

 だけど私のことは心配しないで。

 私は大丈夫だから、安心してね、等々。』

 

緩和ケア病棟や在宅での看取りについてのパンフレットをご家族には渡し、内容をよく説明すること

 

緩和ケアボランティア養成講座

 学ぶべき項目

 1)緩和ケアの理念・哲学

 2)自らの死生観の確立

 3)がんへの対処法について

 4)痛みや吐き気などの症状マネジメントについて

    ※特に医療用麻薬についての知識を得ること

 5)精神的ケア、心理的なケアについての学び

 6)スピリチュアルケアについて

 7)家族サポートについて

 8)悲嘆のケアについて

 9)芸術療法について(音楽、アート、読書等)

 10)ボランティアの役割ついて

 

 具体的に 

  1.季節の行事

  2.図書

  3.空間作り 施設の雰囲気を明るく、心が和む場所に

     花を活ける 園芸 絵画を架ける 

  4.音楽

     ピアノの演奏 コーラスグループ BGM

  5.写真、映像 想い出の記録

  6.お茶会

   緩和ケア病棟ラウンジでコーヒー、紅茶、緑茶等 病室へ

  7.家族サポート

  8,日常生活を支える

  9.緩和ケア病棟SNS

     FaceBookでの情報発信など

  10.遺族会のサポート

     ゆくゆくはご遺族が主催することが望ましい

 

緩和ケア病棟ボランティアを選ぶときの基準とアフターケア

 

大前提として、自らの意志でボランティアを希望していること

 基本的に明るい人であり、安心感を周囲にもたらす人であること

 常識がある人であること

 緩和ケア病棟のスタッフと、また同じボランティア仲間と協調できる人であること

 何かの特技(ピアノ演奏、お茶の先生、切り絵、ステンドグラス製作

 などのプロ、アマチュア)も持っていれば、一般のボランティア以外

 でも受け入れが可能です。

 

  1.動機について

    家族や友人の死をきっかけにして入る人が多い

    悲嘆の期間を過ぎていることが望ましい。少なくとも2年くら

    いは経過していること。

    死生観がどうであるか・・

     あまり特殊であったり、特定の宗教の布教活動は困ります。

  2.コミュニケーションの能力がどうであるか

    聞く(聴く)能力がある人

    患者さんやご家族の気持ちをよく捉える能力が大事です

  3.看護や介護の方法をそれなりに知っていること

    ナースやナースエイドから学ぶ

  4.アフターケア:ボランティアへの継続的なサポートがとても大事です。

    年に1回はリフレッシュ講座を受けること

    ボランティアの集いで、思いや気持ちを共有すること

 

緩和ケア病棟のキャッチフレーズ

 

   緩和ケア病棟はあなた自身が選択して入り、最期まで生き抜くところです。

 

   私たちスタッフは、お一人お一人の価値観を、できるだけ大事にします。

 

   日々の生活をサポートします。

 

   自宅へ戻れるようであれば、環境を調整します

   当院からの訪問看護や訪問診療が可能になることもあります。

   また、他の訪問看護ステーションなどとの連携も可能です。

 

   「ここに来て良かった」と思われるようにサポートします。