aki100mac’s blog

日頃考えていること、体験したことをブログしています。

筆記道具、論考

「デザイナーと道具」という大型の本があります。美術出版社から、2006年6月10日に出版されました。印刷・製本は、凸版印刷です。私がこの本を手に入れたのが、翌年2007年だったと思います。丁度聖路加国際病院とピースハウスホスピスを掛け持ちで勤務していた頃ですね。丸の内オアゾ丸善で見かけて、購入しました。
 2005年1月26日から、2月21日まで、日本デザインコミッティー主催の展覧会、「デザイナーと道具」展が、東京銀座松屋7階のデザインギャラリー1953で開催されました。
 全部で43名参加された、デザイナー、建築家、書家など様々な分野で活躍しておられるクリエイターの方たちの、「文章が展示されたスケッチと道具が印象深いものであった」そうです。そこで、自身も参加されていた「佐藤 卓」さん、彼はグラフィックデザイナーですが、この方が本にして、当時の展覧会に来場した方たち以外の人にも紹介したいと思ったそうです。
 そこで、「展覧会での文章に加筆を希望される参加者の方には加筆をいただき、再度原稿を用意していただいた。」だそうです。
 この本の「はじめに」を佐藤 卓さんが書いておられますので、「」の中の文章は、佐藤 卓さんの文章です。これを皆さまにご紹介したいと思います。
 「・・スケッチは、主観と客観の行き来である。脳で考えたことを手という道具と更に手に持った筆記具を使って一度外に出して、視覚からまた脳に戻して、そしてまた考えることを繰り返している。その連鎖の中でクリエイターは何かを見付けている。そのような作業の中で、クリエイターにとっての筆記具とはいったいどんなものなのだろう。それぞれのクリエイターの普段の仕事と照らし合わせて、その裏側で活躍する筆記用具にちょっと目を向けていただくと、道具と人、そしてモノと人の関係が垣間見えてくる。」
 何と素敵な文章でしょう。
私は、以前、この本の56ページに掲載してある、建築家の北川 原温さんにメールで問い合わせたことがあります。「先生が使っておられる卵形の鉛筆、あれはどこの何という製品でしょうか?宜しければ、お教え下さい・・」と。北川さんから、丁寧なメールが返ってきましたが、「いや、僕も判りません。どこで手に入れたのかも忘れてしまっています。すみません。・・」と。
 そんなものなのかもしれませんね、と独りごちたことでした。
筆記具が好きですね。それと、私の考えを想起させ、実際に原稿用紙にしてくれるMacVAIOが好きですね。そして、綺麗な字を印字してくれるEPSONの業務用プリンターですね。
 それから、自分の手で手帳やノート、大判のスケッチブックに実際に書いて、それを目にして、そしてまた校正してゆく作業が好きですね。
こうして考えますと、豊かな文化には、必ず筆記具、筆記用具が関わっているということですね。
 バッハ、モーツアルトベートーヴェン、彼らもまた、楽譜は全て自らの手作業で、この世に送り出しましたからね。
 さて、スケッチブックを広げるとしましょう。