aki100mac’s blog

日頃考えていること、体験したことをブログしています。

地域の「緩和ケアセンター」で、「死の準備教育」が必要です。

地域において、「緩和ケアセンター」が中心となり、病院やクリニックからの相談を受けることができれば、その地域の緩和ケアのレベルが確実に上がるでしょう。
 また、一般の市民からの相談も受けることができれば、その地域の市民の不安も和らぐでしょう。
 それから、「死をどう捉えるか」が大切だと思います。
これまでの病院は、急性期疾患にフォーカスをあててきました。
しかしながら、社会全体の高齢化が進みますと、加齢による身体の衰えを持つ市民が増えてきました。
 加齢に伴う衰えを押しとどめることはできませんから、急性期病院の機能は手持ち無沙汰になります。世間で一流と言われている病院の一流たる由縁は、比較的若い人の急性期疾患を治療して、社会復帰させる%が高いということになります。言い換えますと、高齢者への医療は、若い人への医療とは異なるということですね。
 高齢者への緩和ケアは、若い年代への急性期ケアとは立脚点が異なり、その目ざすべきゴールが違うのですね。
 今後ますます少子高齢化が進みます。
若い年代への高機能化した医療とは異なる視点で、これからの高齢者医療を考える必要があります。
 「死」は、誰にでもいつかは訪れます。
まさに、メメントモリです。死の準備教育は、何も難しいモノではないと思っています。私の母方の祖母は、「晶ちゃんや、人間は、動物や植物と同じよ。いつかは死ぬんだからね。だから生きている内に頭はしっかりと使わなければね。あなたのお母さんはこんなことは教えなはらんと思うけどね。」と笑顔で諭してくれました。
 旧約聖書に「コヘレトの言葉」、あるいは「伝道の書」と言われている巻物があります。
 人間の送る人生を俯瞰し、まさに「伝えなければならない確かな道」を口述した内容です。興味がある方は、是非「コヘレトの言葉」を検索してみてください。メメントモリの奥義がそこにはあります。
 老化による死には抗えないのです。自分の人生の最後のほうで、そのことが起こると判ると、不思議と気持ちは落ち着きます。
 私の父親の老化が進み、特別養護老人ホーム誤嚥を繰り返し、誤嚥性肺炎となりました。そのたびに急性期病院に運ばれ、抗生剤投与などで回復しました。しかし回復しても以前の体力には戻らず、次第に痩せ衰えてきました。その地域では超一流の病院でした。2度、3度とそんなことを繰り返しました。
 「お父さんは疲れた。もういいよ。」と少し微笑みながら言いました。
その少し前、誤嚥を繰り返すようになるまえに、特別養護老人ホームから見えている山並みを見て、「あの山の向こうにお父さんのお父さんが養子に出された実家がありますよ。皆さんをそこに案内しますよ。」と言っていました。そのときにお父さんが居たのは、山口県宇部市でしたが、お父さんのお父さんの実家は宮崎県ですから、実際にはそうではないのですね。終末期に特有のせん妄ですが、その時の表情は、「人生をやり遂げた」充実感で満ちていました。私たちは「傾聴」し、お父さんの尊厳を大事にしました。私の孫は、あり得ないほど痩せ衰えてしまった曾祖父を、明らかに動揺した目でみています。その時の写真が残されているのですが、これも「死の準備教育」なんだね、そう思っています。
 私は、自分の父親を通じて、「人生の終末期に充実した日々を送ること」、そして、「医療には押し戻せない老化」があるんだということを教わりました。
 そして、「老いの緩和ケア」という書籍を書こうと思いました。
 「緩和ケア」、それは高齢化が進みサルコペニア(筋肉などが痩せ衰え、身体の機能が全般的に落ちます)という、人知では抵抗できない病態が必ず起こり、その状態は「急性期病院」にお任せできない、そんな病態への一つの解だと思います。
 緩和ケアという言葉が、学校教育にも取り上げられるべきだと思います。
 教会では、「教会学校」があります。先ほどお話しした「伝道の書」を学ぶのは、たぶん青年期になってからですが、でも小さいときから、人の一生を俯瞰する賢さが得られます。
 人の一生は、どのみち老化、老衰、サルコペニア誤嚥などを繰り返しながら、やがては死んでいきます。
 私は、小学生の頃から、やがて迎えることになる自分の死、そこから逆算して、「できるだけ自分の気持ちを優先させて」一生を送ろうと思いました。
 そして、今私は人の一生の最期のところで、人生が成就するサポートをしています。
 いろいろな人の死に出会いました。時には驚くようなことも起こりますが、それでも緩和ケアのテキストに記載されているような出来事の範疇です。
 紀元前3世紀に書かれた「伝道の書」を超えてはいません。
私の祖母、中村マサさんの知恵、伝道の書の著者の知恵、これらを学べたことは、とても良かった、そう思います。
 紙面も尽きてきました。続きは次回ということで。

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