aki100mac’s blog

日頃考えていること、体験したことをブログしています。

日本の医師の皆さん、Generalistになりましょうよ。

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緩和ケア病棟の設置が進められている田川市立病院

以前、私が木村外科病院(現在の木村病院)のホスピス病棟「やすらぎ」で緩和ケア医長として勤めていました。その時にTNCテレビから取材を受けました。病棟の患者さんや、緩和ケアボランティアの育成プログラムなどについて、数日に亘りテレビクルーが入りました。その後私がスタジオに出演しました。その時、ダイエーホークスの4番だった松中選手の奥さんがテレビ局のアナウンサーとして、また田久保アナウンサーが司会をして、そのお二人から、上手に誘導していただきました。
 福岡緩和ケア塾を、九州大学医学部の「百年記念講堂」で開塾したのですが、その様子も撮影されました。私の佐賀医科大学時代の恩師である十時麻酔科学教授も出席しておられまして、身の引き締まる思いをしたことをよく憶えています。それと同時に若輩者である私のつたない講義を、熱心にメモをされているお姿を壇上から拝見し、「これは大変だ。しっかりと講義しなければならない。頑張るぞ。」と思ったことでした。また、後輩からも学ぼうとするその姿に感動を覚えました。
 出席された女性の看護師が講義の後で、「ネックはお医者さんなんです。医師は、まず自分の専門から入り、そこしか診ないんです。そうではなくて、受け持っている患者さんの全体を診て欲しいのです。」とTNCテレビの取材にそう応えていました。今でも、これはあまり変わっていないのではないかなと思います。
 私は、これまでいくつかのホスピスや緩和ケア病棟で働きました。場所も福岡、北九州、東京、神奈川、千葉と九州、関東にまたがっています。最近思いますのは、これらの土地土地で言葉や文化の違いは勿論あります。
しかしながら、こと医療に関しては、とりわけEnd Of Life Careにおいての医師の狭量さは特筆すべきものがあるということです。癌末期なのに、心臓や消化器だけを診ても、苦しさの緩和には繫がらないのに・・。
 医学部在学中、また卒業後に受ける臨床教育で、緩和ケアのガイドラインに沿った学習を自らしないと、患者さんやご家族にとって良い医師にはなれません。
 いつの頃から、こうなってしまったのでしょうか。
 GenaristよりもSpecialistを、医師も、患者も、家族も望み、臓器別、診療科目毎に、細切れ、細分化された非常に狭い狭い医療の世界の中で安穏としている、そういったことが成り立っている医療の仕組み、何とかしなければなりませんね。人は何も心臓だけ、消化器だけ、筋肉や頭だけで生きているのではなく、いろいろな器官がそれぞれの役割を果たしながら、協同しているのですから。
全体のバランスを考えていかないと、非常に偏った人物が、医師として振る舞っている、そのような現実があります。私は、医学教育そのものを抜本的に変えなくてはいけないと思います。USAや多くの先進国のように、医科大学に進む前に、まずは文学部や理学部や法学部などの4年生大学を卒業した者に医学部の受験機会を与えること、そして、入学者の選抜にあたって、一番重要視しなければならないのは、学力の高さではなく、「優しい人物」、「包容力がある人物」、「他の人の話を聴くことができる人物」、そして「協調性のある人物」、こういった人物を入学者として選んでいただきたい、真剣にそう考えています。
 医師自身が、Generalistになるべく、一生涯努力し、文化・芸術に触れ、人間性を磨く努力を怠らないようにしないと、世間の笑いものになってしまいます。
 何より、そんな人生を私だったら歩みたくはないですね。
そろそろ、本当に皆さんが幸せになるための医師のあり方について、地方議会や国会の場で活発な議論が沸き起こるのを聴いてみたい、そう思います。