aki100mac’s blog

日頃考えていること、体験したことをブログしています。

市民と共に歩む緩和ケア病棟

2023年度の当院緩和ケアチームの活動メインテーマを5人のメンバーで協議しました。

決まったのが、4月に開設成った「緩和ケア病棟」について、そして「緩和ケア」について、まずは医療・看護・福祉の関係者の皆さんにお知らせしていこうということと、それから一般の市民の方々に「緩和ケアって何?」との疑問にお応えしていこうということになりました。

PEACE(医師への緩和ケア初期研修会)を私は、たくさん経験しましたが、その中で、例えば「がん性疼痛」のワークショップの時には、数名の医師たちが輪になってディスカッションします。その際に、司会者、あとで他のグループと発表し合う時にそのグループのディスカッションの内容を纏めて言う発表者、それにホワイトボードに発言の内容を記載していく書記役を決めます。一昨日、水曜日の緩和ケアチームミーティングでは、そのような体裁を取ってみました。

緩和ケアチームのミーティングで使用したホワイトボード

上の写真が実際にホワイトボードに書かれたものです。まずは① 緩和ケアって何について緩和ケア病棟勤務の「緩和ケア認定看護師」が20分ほどお話しします。その後私が「緩和ケア病棟ってこんな所ですよ。」とかみ砕いてお話しします。あ、これはオンラインと対面の2本立てで開催することを念頭に置いています。 年間に4回開催をしようと思っています。

②緩和ケアで一番大切な薬は、やはり今でもモルヒネですよ。他の薬では、「がんの痛み」は緩和できたとしても、身体の疲れを癒やし、心も楽にしてくれるのは、モルヒネであり、しかも終末期では嚥下ができなくなり、消化管の働きもグッと低下してきて、内服薬は身体に吸収されなくなります。そのため、「塩酸モルヒネの注射液を注入した小型シリンジ(たいていは10ccの注射器)の中に、例えば塩酸モルヒネ注射液1アンプル(1ml中に塩酸モルヒネ注射液が10mg)と商品名セレネース(一般名ハロペリドール:吐き気止めとして、また若干の精神安定剤の役目も期待して)を例えば1/2アンプル(0.5ml)、それに注射用蒸留水4.5mlを加えて、全量を6mlとして、例えば0,15ml/時で持続皮下注射を開始、などします。本当に少量、例えば0,15ml/時ですと、1日では、0.15×24=3.6ml ⇒1塩酸モルヒネ注射液は、10mg×(3.6÷6)=6mg身体に入ることになります。

 持続皮下注射の方法は、一般的な点滴で使用することに比べて、まず安全だということが利点です。血管の中に針を留置するのではなく皮下ですから、皮膚のあるところなら全身どこの皮膚でも使えます。そして血管確保をしなくて済むため、終末期で点滴が取れないことになっても大丈夫です。それに例えばお風呂に入るときには、持続皮下注射器から伸びている細い管を途中で外して、お湯がかからないように、テープで被い、終わったらまた連結して再会すればいいのですね。ですから「点滴に縛られている不快感は限りなくゼロに近い」です。

 緩和ケアで、それまでなかなかモルヒネを使うことにためらっていた方が、いったん決心して受け入れ、使い始めると、それまでの苦痛が何だったんだろうと訝しむぐらい、身体が休まり、夜もちゃんと眠れるようになって、安堵します。

 こういったことを医療者だけではなく、一般の市民の方々に是非お伝えしたい、そう思います。モルヒネへの誤解を和らげたいです。

③緩和ケア病棟でのボランティアを募ります。いま私の頭の中には、「ボランティアコーディネーター」に任命したい人が1人浮かんでいます。フフフ。(*^。^*)

④私たちは、緩和ケア病棟を利用し亡くなった方々からの生の声を聴きたいと思っても、皆さんそれぞれこの世から旅立たれていますので、実際には無理です。でも、そのご家族やご友人から是非生の声をうかがいたいものだと思っています。

 それぞれの開催時期は、6月、8月、11月、2月にしましょうとは漠然とですが決めました。さて、私たち「田川市立病院緩和ケア病棟(緩和ケアセンター)丸」は、2023年度の活動に向けて、これから出航です。今年はどんな光景に出会えるのでしょうね。今からワクワクします。