aki100mac’s blog

日頃考えていること、体験したことをブログしています。

本物の緩和ケアと、そうではないBSCの差

痛みの図です。身体的な痛みが十分にとれてこそ、ほかの苦痛に対処できます。

今日も、1人の方が私たちの緩和ケア病棟に転院してきました。激しい痛みのために仰向けに休む事ができず、唸っていました。今まで診ていた病院では、「BSCの方針になった」のだそうですが、鎮痛剤が何も出ていませんでした。

 

がん性疼痛、それも内臓痛と筋肉や骨への転移があるかもしれない痛み、神経障害性疼痛も疑われます。何しろその病院では、化学療法が困難になってからは検査らしい検査は何もせず、従ってどこにどんな転移や浸潤があるのか皆目見当がつかない、そんな状況でした。
 「これは酷いな。よし、何とか2時間以内に痛みをゼロにするぞ」といつもの如く、緩和ケア緊急集中治療を開始しました。塩酸モルヒネ持続皮下注射を開始しましたが、咳嗽が頻発していましたので、ポータブルで胸部X線写真をと思いましたが、放射線技師さんから「痛みが強すぎて、仰向けにも横向きにもなれませんので、もう少し痛みがなんとかならないと良好なレントゲン写真が撮れません。」と言われてしまいました。そこで、アセリオの点滴静注と2%キシロカイン(静注用)の点滴静注を開始しました。私がこれまで勤務してきた、北九州市立医療センターや国保旭中央病院の看護師さんなら理解できると思いますが、それを開始してから30分後、痛みはだいぶましになり、1時間後には「がんの痛みがすっかり消えました。ありがとうございました。ここに来て良かった。」と満面の笑顔でした。身体の向きもスッと換えられます。
 

良かった、のですが、どうしてここまでほっとくのだろうか、その病院にも緩和ケアチームはあるだろうにと訝しんでいます。でもまだお尻が痛い、のでした。なんで?看護師さんたちは発見しました。仙骨部の深い褥瘡を観ていないのです、そこの病院の医師も看護師も。トホホです。大急ぎで褥瘡の処置を行いましたが、がんの痛みが消えた分、そこの褥瘡の痛みがとんでもないことに。そこで、塩酸ケタミン(静注用)の持続皮下注射も開始しました。以前記載したことがありますが、「ちゃんとした緩和ケアかそうでない、な〜んちゃって緩和ケアかは、ケタラールの持続皮下注射や持続点滴静注がきちんと使えているかどうか」ですよ。

 

呆れました。そうなんです。知らないんですね、このやり方そのものを。

どうして真面目に緩和ケアをしないのでしょう?知識、技術、態度すべてにおいて、厳しさが求められるのが緩和ケアの現場なんです。

このことを理解して、真面目に勉強してくださいな。

 この方は夜8時過ぎにはおしりの痛みも消え、それまで痛くて痛くて眠れなかったのでしょう、💤と安眠に。

 夜勤の看護師さんに、「もし眠れないようだったら、ミダゾラムを0.7,いや0.6ml皮下注射してみてもいいよ。指示簿にも記載していて、注射簿にも掲載しておいたからね。よろしくね。」 

 それから家路につきました。上を見上げると満天の星空。北斗七星も見えています。今日はこれで終了です。一日の苦労は一日にて終わりです。

明日はまた明日自ら思い悩むでしょうよ、きっと。